生田武志。 『いのちへの礼儀 (単行本)』(生田武志)の感想(4レビュー)

いのちへの礼儀 国家・資本・家族の変容と動物たち/生田武志/著 本・コミック : オンライン書店e

生田武志

路上死 このたび、社会貢献者表彰を頂き、感謝申し上げます。 大学生だった1986年4月に釜ヶ崎に初めて行き、0. 62平方キロの街に500人ほどの人たちが失業のために野宿になり、さらに多くの人たちが病死、凍死、餓死していく様子を見てショックを受けました。 それから野宿者支援活動、日雇労働運動、そして(山王こどもセンターなど)こどもたちに関わる活動などに関わってきました。 また、10代の若者などが野宿者を襲い、ときに殺害する事件が後をたたないことから、2000年から全国各地の小中高校で「野宿問題の授業」を続けています。 現在、野宿者ネットワークを中心に野宿者支援活動を行なっています。 野宿者ネットワークは年間予算100万円そこそこの団体(人件費ゼロ)ですが、最大の経費が「寝袋代」です。 以前は夜まわりで冬季に100個は配っており、近年も数十個配っています。 夏用寝袋では冬の野宿には役に立たないので、定価5,000円ぐらいのものを毎年買っています。 また、野宿者ネットワークが在庫に置いている寝袋は、2011年の東日本大震災のときは仙台の夜まわり団体に、今年の熊本地震のときは熊本の支援団体にそれぞれありったけの数十個、郵送しました。 どちらもまだ寒い時期の被災だったので、車中泊の人や野宿の人たちのために使ってもらえたようです。 副賞はこの寝袋代などに使っています。 11月の授賞式では、以前に講演に呼んでいただいた「反貧困ネットワーク広島」、2011年に泊まり込みでボランティアに行った「仙台ワンファミリー」の人たちも受賞で来ておられ、いろいろお話ししました。 また、神戸の女性シェルターネットの方や、沖縄で夜間中学を運営されている方、大阪で生活困窮者レスキュー事業に関わっておられる方もおられ、いろいろな情報交換でき、たいへん有意義な機会になりました。 いま、釜ヶ崎では仕事がなくなり、行政の窓口が閉じる年末年始を迎え、「一人の餓死・凍死者も出すな! 」を合言葉とする越冬闘争が始まろうとしています。 大晦日に夜まわりを行ない、元日は西成公園で野宿している人たちとの食事会を行ないます。 厳しい状況が続く中、今後もできる限りの活動を続けていきたいと思っています。

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生田武志『〈野宿者襲撃〉論』

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「Thinkstock」より ブラック企業が横行する日本。 これでは、安倍晋三政権が掲げる日本再興戦略「JAPAN is BACK」 ならぬ「JAPAN is BLACK」ではないか。 しかし、そんな暗闇に満ちた社会で一生懸命に働く当事者たちはまぶしい光を放っている。 本連載では慶應義塾大学経済学部教授の金子勝氏が、そんな当事者の人びとにスポットを当てて、ブラックな社会の実態に迫る。 今回金子氏は、(ちくま文庫)の著者で、野宿者の支援を行っている「野宿者ネットワーク」代表の生田武志氏に、 ・路上生活者の支援の現状 ・ 路上生活をする若者が増えている原因 などについて話を聞いた。 奨学金の返済ができない若者たちが路上生活者に 金子勝氏(以下、金子) 生田さんは、現在どのような活動をされているのですか。 生田武志氏(以下、生田) ひとつは、野宿している、あるいは野宿生活になりそうな生活困窮者の支援です。 最近は、ギリギリまで我慢してから相談に来る人が多いです。 たとえば、被災地で仕事をしていたが、大阪に帰ってきたら仕事がなくなり、家賃が払えなくなったという人がいました。 釜ヶ崎(大阪市西成区北部の通称)から電車で300円ぐらいかかる市からのSOSの電話だったのですが、そのとき50円しか持っていないと言うので、私が迎えに行きました。 寝る場所もないので、西成区役所に一緒に行って相談しました。 その後、鬱状態になり自傷して病院に入院。 そのような経緯を経て生活保護を受けることになりました。 なお、2008年末から09年初頭に東京・日比谷公園で開設された派遣村以降、生活保護が受けやすくなりました。 いわば生活保護が適正化されたので、野宿者の数は減っています。 金子 野宿からアパートに入ることで生活は改善されますか。 生田 野宿者ネットワークの活動の半分は、野宿からアパートなどに入った人への支援です。 生活保護を受けて住居に入り職を探そうとしますが、安定的な仕事はなかなか見つかりません。 介護職だけはあります。 なぜなら介護の現場はひどいので、みんなすぐにやめてしまうからです。 50~60歳の人でも介護の学校に通い、介護ヘルパーになるというケースは多いです。 奨学金が重荷となり生活が困窮する若者たち 金子 最近、若者からの相談が多くなっているようですね。 生田 その大半は、奨学金返済を抱えています。 正社員であれば返せますが、非正規雇用では月3~4万円の返済は困難です。 奨学金を返済するために家計が圧迫され、毎月少しずつ借金がたまってしまう人が多いのです。 大学や専門学校を出た段階で、500~600万円の借金を抱えています。 返済の猶予措置があることを知らない人もいます。

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いのちへの礼儀

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序章20ページ、前篇が250ページ、間奏が10ページ、後篇が140ページ、終章10ページ弱に別れている。 前篇は、ペットや動物への虐待、家畜を含め産業利用されている動物、それと関連してアニマルウェルフェアなどが取り上げられている。 後篇は、文学者と動物(ペット)、文学などの作品中の動物などが扱われている。 個人的には、アクチュアルなことを論じていることもあって、前篇に強く惹きつけられた。 まず、ペットの避妊手術について改めて考えさせられた(人間への強制不妊手術は不可だが、ペットには可でいいのか)。 今後、家畜の生育環境はアニマルウェルフェアの方向へ行くのだろうけど、食肉・鶏卵・牛乳の価格の高騰が予測され、それゆえ庶民の手に届かなくなる可能性がある。 代替品がないわけではないが、多くの人がそれで納得するのかどうか。 また、動物実験をなるべく減少させていくこと、化粧品や健康食品などの実験への動物使用を禁止することには反対ではないが、医薬品について完全禁止は疑問である。 医師でもある小説家が自身の作品中で医師に「マウスの毒性試験のつぎは臨床試験」みたいなことを言わせているが、そうだとすると怖ろしい。 この穴埋めに、経済弱者が「ボランティア」として治験に利用される可能性は十分にある(記憶では『レッドマーケット』にその手のことがかいてあった)。 これらは、人間の側の、「礼儀」の問題だろうし、心構えの問題でもある。 国民的なコンセンサスを得ることは難しいかもしれないが、動物と何らかの形で共生を考える限り、ずっと考えていくべきことなのだろう。

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