ホクナリン テープ 小児。 喘息発作時のβ2刺激薬の使い方

ホクナリンテープは風邪の咳に効かない!それでも子供に使う理由は?

ホクナリン テープ 小児

「子供が咳をしてる、風邪かな?」って思って病院に連れていくと、ホクナリンテープが処方されることがあります。 ホクナリンテープは一般的に、喘息やCOPDの患者さんに使われることが多いので、調べてみて少し驚かれたご両親もいらっしゃるのではないでしょうか?「もしかすると、わが子は喘息なのかな?」と心配になってしまうかもしれません。 ですがホクナリンテープは急性気管支炎、つまり咳が出る風邪に対して出されているのです。 特に小児では薬を飲ませるのも一苦労、そうしたときに貼って効果が出るホクナリンテープは非常に重宝されます。 とはいっても、「ホクナリンテープは実際に咳を抑えるのか?」「副作用が大丈夫なのか?」など、気になるところかと思います。 添付文章には少しでも可能性があることはすべて書いてあるので、怖いことがたくさん書いてあります。 ここでは、乳幼児の咳に対して使用されるホクナリンテープの効果と副作用の実際についてお伝えしていきます。 不必要に怖がる必要はありません。 1.ホクナリンテープの効果と副作用とは? ホクナリンテープは、長期作用型の貼り薬として使用されています。 成人の場合は、喘息やCOPDの長期管理に使用されます。 一方で小児では、急性気管支炎に対して処方されます。 成人の方に処方する場合は、主に喘息やCOPDの長期管理のお薬になります。 しかし吸入薬は、しっかりと吸入できないと全く効果を発揮しません。 そのため吸入するのが難しい小児や認知症の方などでは、今でもホクナリンテープを中心に治療をすることが多いです。 一方でホクナリンテープは、急性気管支炎に対しても効果があります。 急性気管支炎、つまりは咳などの風邪に対しても、ホクナリンテープは活躍すると思います。 乳幼児に処方する場合は、ホクナリンテープは咳止めとしての効果を期待して処方しているのです。 成人にはホクナリンテープとして2mg、小児にはホクナリンテープとして0. 5~3歳未満には0. 5mg、3~9歳未満には1mg、9歳以上には2mgを1日1回、胸や背中、上腕部のいずれかに1日1回貼り付けます。 とはいっても、同じ年齢でも大きい子や小さい子もいます。 このため、体重を目安にして15kg以下は0. 5mg、15~30kgは1mg、30kg以上は2mgをめやすにしてホクナリンテープを貼るようにします。 1回貼れば24時間効果が持続します。 成分のツロブテロールが結晶としてテープに含まれており、ゆっくり溶け出すことで持続するのです。 一方でゆっくり溶け出すため即効性はなく、血中濃度が最も高くなるのはテープを貼った11~13時間後です。 ピークを過ぎると徐々に量は低下していきます。 ホクナリンテープの効果と特徴を詳しく知りたい人は、「」を参照してみてください。 しかし実際に咳がどれくらい収まるのか、効果は不明な点も多いです。 ホクナリンテープは、咳をしている乳幼児に多く処方されています。 赤ちゃんは薬を飲ますのも一苦労だと思います。 無理に飲まそうとして逆に暴れて吐いちゃった経験などはないでしょうか?両親が早く治って欲しいと思う一方、赤ちゃんは飲みたくないものは吐き出そうとします。 ホクナリンテープは、急性気管支炎に対して適応があります。 気管支炎と診断される場合は、咳をしてる場合です。 気管支を広げることで、結果として気管支の収縮をおさえ、咳反射を抑制します。 また、せまくなっている気管支が長い間広がるため、息の通りが良くなって息苦しさも良くなります。 しかし理論上は咳が良くなるといわれても、実際にはどれくらい良くなるのか気になるところです。 添付文章での小児の改善効果は以下のようになっています。 疾患名 中等度改善以上 軽度改善以上 気管支喘息 65. 軽度の症例だと9割近く、中等度以上でも8割近く改善すると書かれていると、すごく良い薬なような気がします。 しかしこれには、からくりがあります。 急性気管支炎の改善率をみた調査では、咳がしている患者さんがホクナリンテープを貼った後に、• 咳の回数• 咳の強さ の2点がどれくらい改善しているか見ています。 しかしここで問題なのは、ホクナリンテープを貼らなかった場合どれくらい改善したか示していないのです。 急性気管支炎とはいわゆる風邪です。 風邪であれば治療を特にしてなくても、安静にしていれば改善していくことも多いかと思います。 風邪の一番の治療薬は、実は薬を投与することではなく安静にすることです。 そのためこの研究では、ホクナリンテープを貼らなくても大体が改善したかもしれないのに、さもホクナリンテープのおかげで全て改善したとなっています。 ホクナリンテープを貼っても貼らなくても、「風邪が治った期間は変わらない」「咳の回数は変わらない」といった論文も多数出ています。 そのためこの結果だけを鵜呑みして、ホクナリンテープを貼れば8~9割治せるとするわけにはいきません。 そもそも乳幼児の研究はとても難しいです。 大人と違って話せないので、実際どれくらい辛いのか?どれくらいホクナリンテープを貼ったら楽になったか?聞くことができません。 また咳している人が、全員が気管支炎なのかという問題もあります。 乳幼児に対して過剰にレントゲン写真や採血などの検査をすることは、むしろ負担になるため行われません。 このため正確に風邪だけを集めることは困難で、どれくらいホクナリンテープが効いたか数値化するのは非常に難しいのです。 3.ホクナリンテープの小児への副作用は大丈夫? ホクナリンテープの乳幼児の主な副作用は、テープかぶれになります。 効果と同じくらい気になるのが副作用だと思います。 乳幼児の方にホクナリンテープを貼ったら、どれくらい副作用が出現するのでしょうか? ホクナリンテープで副作用はどれくらい出るのか、添付文章をみてみましょう。 成人では、601例中75例(12. 主な副作用は、• 振戦23件(3. 心悸亢進16件(2. そう痒感15件(2. 接触性皮膚炎15件(2. 一方小児では、401例中41例(10. 主な副作用は、• 紅斑21件(5. そう痒感19件(4. 接触性皮膚炎10件(2. 小児の副作用のうち、大半がテープかぶれによるものということが分かるかと思います。 特に乳幼児では皮膚がまだ未発達のために、人によっては赤くなったり痒みが出てくることがあります。 これに対して対応策としては、• 貼る場所を毎日変える• 保湿剤で保湿を促す の二点が重要になります。 ホクナリンテープは、胸・背中・上腕部どこに貼っても効果は同じです。 胸や上腕に貼ってしまうと自分でとってしまうことがあるため、乳幼児では背中に貼るのがお勧めです。 また皮膚が乾燥気味だと痒みが出やすいといわれています。 貼る場所を毎回変えて、前日に前もって保湿をしておくと良いかと思います。 一方でホクナリンテープは、動悸や手の振るえなどの副作用があります。 一方で小児では、ほとんど報告がありません。 乳幼児だと手が振るえたり、動悸がすると訴えるのが難しいこともあるかもしれません。 ですが実際にホクナリンテープを使っていても、これらによって重篤な副作用につながったという報告はありません。 ホクナリンテープの添付文章には、用法・用量を超えて使用を続けた場合、不整脈や心停止の恐れがあるという怖い一文があります。 この一文が独り歩きして、心臓が止まるようなお薬だから怖い・・・と心配される方もいらっしゃいます。 ホクナリンテープを普通に使用していて、心臓が止まることはまずないです。 処方されたホクナリンテープを一度に大量に、しかもずっと貼り付けたら・・・という話をしているのです。 副作用は何が起こるか?と同時に、どれくらいの頻度でおこるかも非常に重要です。 「車に乗ったら交通事故で命を落とすかもしれない」ことは皆理解していても、多くの方は気にせずに車に乗っているかと思います。 これは「車で交通事故で命を落とす可能性は低い」ことを知っているからです。 ホクナリンテープも同じです。 理論上はホクナリンテープで色々な副作用は起こりえますが、それらの可能性は車で事故を起こす確率よりかなり低いです。 まとめると、乳幼児に使うホクナリンテープの副作用はテープかぶれ程度です。 重篤な副作用はほぼ起こらないと考えて良いと思います。 ホクナリンテープの副作用をよく知りたい方は、「」を一読してみてください。 4.咳でホクナリンテープを処方された方へ ホクナリンテープは咳の症状をよくするかもしれませんが、風邪を治すものではありません。 そして副作用も非常に少ないので、過度に心配することはありません。 ホクナリンテープを処方されて調べてみたら怖いことも書いてあって、躊躇しているご両親の方もいるかもしれません。 しかし以下の二つのことがいえます。 ホクナリンテープは咳の症状を和らげるかもしれませんが、風邪自体を治すものではありません。 ホクナリンテープは、テープかぶれ以外の副作用はほぼないです。 ホクナリンテープは、気道を広げることで咳反射を抑制したり、息が吸いやすくなるという効果が期待できます。 一方で、急性気管支炎の原因となった細菌やウイルスをやっつける作用は全くありません。 つまりホクナリンテープを貼れば早く風邪が治るわけではありません。 辛い咳の症状をとるかもしれない、それだけです。 風邪の一番の治療は安静です。 そのためホクナリンテープを貼って咳が楽になったとしても、遊びに連れていってしまっては気管支炎は良くなりません。 ですが辛そうに咳をしている子供をみたら、少しでも症状を軽減してあげれば楽になります。 そのため安全性が高いホクナリンテープを処方しているのです。 成人では、咳の症状でホクナリンテープが出てくる人は少ないと思います。 咳止めの飲み薬が多いのではないでしょうか?乳幼児では、お薬を飲ませるのは大変でしょう。 そのため、確実に投与できるうえに安全なホクナリンテープが乳幼児では選択されるのです。 ホクナリンテープに限らず、風邪薬は症状を和らげるのであって、早く治すお薬はありません。 一方で咳で辛そうなお子さんをせっかく病院に連れてきたのに、「家でおとなしくしていれば治ります」と医師が言って何も薬を処方しなかったらどうでしょうか? 名医と感じる人より、冷たい医者と感じる人の方が多いと思います。 そのため医師は、副作用が少ないホクナリンテープを処方するのです。 そのため大切なのは、ここまで書いた情報をしっかりご両親の方が理解して治療を選択することです。 咳で辛そうで何かしてあげたいから、ホクナリンテープを貼ってあげよう• 咳も少ないし、テープかぶれもかわいそうだからホクナリンテープはやめておこう どちらの意見も正解だと思います。 ただしこの結果に至るために、正確な情報の中しっかりと判断するようにしましょう。 まとめ• 乳幼児の咳にホクナリンテープが処方されるのは急性気管支炎という病名に対して処方されます。 ホクナリンテープは気管支を広げることで咳反射を抑制することで症状を軽快することを目的としています。 乳幼児のホクナリンテープの副作用はテープかぶれが主だと思います。 ホクナリンテープを貼ったからといってすぐに咳が治るわけではありません。 安静加療が一番の治療です。 2017年3月22日 カテゴリー• 1,162• 月別アーカイブ•

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喘息発作時のβ2刺激薬の使い方

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ホクナリンテープは子供の風邪の咳に効かない 子供の風邪の咳止め代わりにホクナリンテープを使うケースが多いですが、ホクナリンテープは風邪の咳にはほとんど効きません。 と喘息の咳は起こるメカニズムが違うからです。 風邪の咳:ウイルスや細菌の感染• 喘息の咳:気管支の収縮や炎症 子供の風邪の咳は痰の絡むことが多く、などの中枢性鎮咳薬(ちゅうせいちんがいやく)ややムコソルバンなどの去痰薬(きょたんやく)を使います。 『』 『』 一方、子供の喘息の咳は気管支を広げる薬(気管支拡張剤)、炎症を抑える薬(ステロイド)、もしくはその配合剤を使います。 『』 ホクナリンテープを効かない咳に使う理由1 ホクナリンテープを子供の咳止め代わりに使う理由のひとつ目は、 ホクナリンテープは保険適用に 気管支炎があるからです。 ホクナリンテープの効果(中等度以上改善率 % ) 疾患名 成人 小児 気管支喘息 56. 8 65. 9 急性気管支炎 63 77. 1 慢性気管支炎 44. 8 — 肺気腫 44. 4 — データの出典:ホクナリンテープ添付文書 気管支炎とは、字のごとく気管支で起こる炎症性の病気です。 気管支炎は風邪ウイルスや細菌感染が発端となり、 咳や 痰の症状が起こり、発熱、だるさ、胸の苦しさの症状が併発する場合もあります。 つまり、 風邪で起こる咳痰のほとんどは気管支炎であり、ホクナリンテープを風邪の咳に使う理由が成立するのです。 ただし、私はこう考えます。 「」で解説したように、風邪と喘息の咳は起こるメカニズムが違います。 ホクナリンテープが気管支炎に保険適用があったとしても、風邪の咳には効くとは思えません。 『』 ホクナリンテープを効かない咳に使う理由2 ホクナリンテープを子供の咳止め代わりに使う理由のふたつ目は、 ホクナリンテープはあまりにも「咳止めシール」として認知され過ぎているからです。 薬剤師として小児科を担当していると、ほとんどのお母さんがホクナリンテープを使ったことがあります。 もちろん「咳止めシール」としてです。 咳止め代わりにホクナリンテープを使うのが習慣化しているのです。 『』 ホクナリンテープを効かない咳に使う理由3 ホクナリンテープを子供の咳止め代わりに使う理由の三つ目は、 ホクナリンテープの処方を止めにくいからです。 (「喘息を見逃していないか?」という疑問が残るせいか)小児科や耳鼻科ではホクナリンテープはよく使われます。 小児科・耳鼻科のお薬手帳は、ホクナリンテープの履歴でいっぱいです。 風邪に効かない クラリスロマイシンも、ペタペタと貼られています。 『』 医師は他の医師の処方を尊重します。 お薬手帳を見た医師がそのままホクナリンテープを処方し、そのお薬手帳をみた別の医師がまた処方し…。 といった具合に、ホクナリンテープが止められなくなっているのです。 また、も同様です。 医師が「咳に効く」と処方した薬を、「咳には効かない」とは言えないからです。

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ホクナリンテープが途中ではがれたときの対応について考えてみる。

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咳止めのテープ ホクナリンテープ 「咳止めのテープ」の問題点 外来を受診する子どもの中で、背中にテープを貼っている人がいます(右写真)。 保健センターで乳児健診を行なったり、学校健診をするときも必ず何人かこのテープを貼っている子を見つけます。 たまたま見つかっただけでも、多くの子どもたちが貼っているわけですから、このテープを使っている人は膨大な数であろうと推測されます。 ところが、親御さんに話を聞くと、単に「咳が出るから貼っている。 」という人が大部分です。 本当にこの薬(テープですが、立派な薬です)のことを理解して使っておられるのでしょうか? 「咳止めのテープ」を多くの方が正確な知識のないままに子どもに使用しています。 この状況は、今の小児医療の問題点をいくつか浮き彫りにするものです。 (正確には気管支へのレセプターに対して強く反応し、心臓に対しては作用しにくくなっています。 )ホクナリンテープの裏にはこの薬が塗ってあり、貼るとじわじわと皮膚から薬が吸収され、6〜8時間後に血中濃度が上がり、24時間以上持続して気管支を広げる効果があります。 夕方に貼っても朝まで効果が持続するので、早朝に起こる喘息発作を予防することができます。 なお、ホクナリンテープは喘息発作の予防には効果がありますが、既に起こっている発作を止めることはできません。 効果が出るまで、あまりにも時間がかかり過ぎるからです。 2、咳嗽の治療に使われているわけ 厚生労働省が認めているホクナリンテープの適応病名の中で、小児と関係するのは気管支喘息と急性気管支炎です。 この中でホクナリンテープが気管支喘息に効果があるのは間違いありません。 気管支喘息を持つ子どもは全体の約5%です(右円グラフ)。 このテープを使用している大多数の子どもたちは気管支喘息とは関係はなく、急性気管支炎の診断で使用されています。 では、急性気管支炎とはどんな病気なのでしょう?実はこの診断が極めて曖昧です。 次にあげるのは、「今日の小児治療指針」からの引用ですが 急性気管支炎では,湿性咳嗽がみられ,発熱や胸部聴診所見にてラ音が聴取されることがあるが,胸部単純X線では明らかな異常陰影を認めない。 通常は乾性咳嗽,鼻汁などの上気道炎症状が先行する。 と書かれています。 これを読むと、風邪に引き続いて起こる湿った咳は、それだけで急性気管支炎と診断してよいということになります。 小児の上気道炎のほとんどに気管支炎を併発するということになり。 その結果、ホクナリンテープがたくさん処方されることになるのでしょう。 3、本当に効果があるか? 製薬メーカーが厚生労働省に薬の承認を求める時、臨床試験をしているはずです。 ところが、ここにも大きな問題があります。 ホクナリンテープが国の承認を得るための治験が行なわれていたのは1990年代です。 メーカーがその効果の根拠にしている論文は、1995年に小児科臨床誌上で発表されたもので、下に要約を引用します。 HN-078は咳嗽、喀痰、喘鳴、夜間睡眠および聴診ラ音の各臨床症状のいずれにも改善率(中等度改善以上)70%以上の優れた効果が認められた。 最終全般改善度は55例中著明改善19例、中等度改善25例、軽度改善7例、不変3例、悪化1例で、改善率は80%であった。 論文中に下の図が掲載されています。 結論として、ホクナリンテープは急性気管支炎に極めて有用であるとされています。 この図を見ると誰が見ても良く効いています。 ところが、この臨床評価は極めて大きな問題があるのです。 分かるでしょうか? なんと、この研究にはコントロールスタディーがないのです。 つまり、テープを貼った人だけを調べているのです。 薬の効果は本来なら薬を使用した群、使用しなかった群で比べるべきものです。 その比較がない研究は、単なる経過報告でしかありません。 そもそも、小児の咳嗽は3日も経てばほとんど軽快します。 上のグラフはテープを貼った効果なのでしょうか?それとも自然経過なのでしょうか?肝心のそこが分かりません。 こういったデータを信じて、日本中の医者がこのテープを処方しているのです。 なお、この論文が気管支拡張剤が咳反射を抑制するという根拠にしている論文は、1964年に書かれた物です。 The American Journal of the Medical Science May 1964 585-600 40年前の理屈が現在でも通用するのでしょうか?一般の科学ではあり得ない話です。 右のグラフは当院で患者さんにお願いして集めたデータです。 急性気管支炎症状の患者さんで、テープを貼った群、貼っていない群で、咳嗽の経過を記録して、ファックスしてもらい集計しました。 これを見ると、ホクナリンテープを貼った群も、貼らなかった群も同じように治っていきます。 ホクナリンテープは咳嗽の自然経過に何ら影響しないことがわかります。 ホクナリンテープに咳を止める効果はないのです。 同じように急性気管支炎に気管支拡張剤の効果がないことは、海外のいくつかの臨床研究でも証明されています()。 小児科臨床の論文の中には、患児または保護者の印象も記載されています。 それを見ると、「大変良くなった」 27. 3%、「良くなった」 49. 1%、「少し良くなった」 14. 5%で、なんと90%以上の人がその効果があったと判断しているのです。 当院で貼ってもらった患者さんでも、「効いた」と述べられた方が多数いました。 患者さんはこういった比較はできません。 テープを貼った場合は、治っていくのを見ていくだけです。 ですので、自然経過で治っていくのを薬の効果と勘違いされてしまっているわけです。 これは極めて危険です。 4、気管支炎の正体 近年、長引く感冒症状の多くで、副鼻腔炎が合併していることが明らかになりました()。 副鼻腔とは鼻の横にある骨の部屋で、そこに分泌物がたまって、なかなか外に出て行かないために、咳嗽や鼻汁が長引いているわけです()。 気管支炎と考えられていた病気の多くは、実は副鼻腔炎であったと考えられます。 当院のエコーによる調査でも、長引く咳嗽の子どもさんの約6割に副鼻腔炎を認めました()。 副鼻腔炎はこれほど多い病気であるにも関わらず、小児科で診断されることはほとんどありません。 これは、日本の小児科医が耳鼻科疾患の診断、治療のトレーニングを受けていないためだと考えられます。 小児の咳嗽が長引く場合に、最初に考えなければならない病気は気管支炎ではなく、副鼻腔炎なのです。 また、ぜいぜいという喘鳴が出れば気管支拡張剤が効くだろうと考える人もいます。 これも真実ではありません。 RSウイルスによる細気管支炎は強い喘鳴が出るし、聴診しても喘息と似た音が聞こえます。 細気管支炎は乳幼児の下気道感染症の最大の原因であり、世界中の研究者たちが治療法を探しています。 気管支拡張剤の効果も詳細に検討されているのですが、結論は、気管支拡張剤を高張食塩水で吸入すれば少しは効果があるかもしれない()が、内服は効果がない。 喘鳴を繰り返す場合は気管支喘息との鑑別が必要になるが、少なくとも初回の喘鳴発作には使うべきではないというものです (。 ましてやホクナリンテープは、貼ってから効果が出るまで最低でも4時間はかかる長時間作用型の気管支拡張剤です。 テープは日本と韓国でしか使用されていないために、効果を調べた論文は見つかりませんが、常識的には全く期待できないということになります。 5、薬依存症のスパイラル 咳嗽は本来、自然治癒傾向が強い症状です。 ところが、親の不安感は年々増しています。 咳嗽が強い場合、長引く場合には、不安を訴える親がたくさんいます。 肺炎ではないだろうか?喘息ではないだろうか?と聞かれることが頻繁にあります。 ところが、感冒の咳嗽でも長く続くことはまれではなく()、数週間から一月以上も続くこともあります。 特に保育所や幼稚園で集団生活をしていると長引くことが多いのです。 これは集団生活で何度もウイルス感染を起こすことに起因するものです。 気管支喘息は聴診で診断しますが、発作の時でないと分かりません。 だから、小児科医も「喘息だったらどうしよう?」と、不安になり、ホクナリンテープをはじめとする気管支拡張剤を処方してしまいがちです。 これは日本だけでなく、世界中の小児科医で共通するもののようです。 咳嗽の大多数の原因である感冒や気管支炎には効果がないはずですが、自然経過で治ってしまい、次からも咳嗽があると親が同じ薬を欲しがるということになります。 ホクナリンテープは効果がなくても効いたと思われてしまうことを、上の論文が証明しています。 6、ホクナリンテープの過剰使用、その危険性 上記したように、小児科医が長引く咳嗽に気管支拡張剤を処方しがちなのは、喘息を見逃していないか?という恐怖感があるからです。 乾いた咳嗽が8週間以上も続く場合は将来の気管支喘息の発症のリスクが高いことが知られています()。 しかし、外来でそういった慢性咳嗽に遭遇することは少なく、ほとんどの咳嗽は急性のものです。 こういった急性咳嗽に気管支拡張剤を使用することに意味はどこにあるのでしょうか?自然治癒する急性疾患に薬を処方することは、薬依存症を作るだけです。 その結果が現在の過剰投与の状況を生んでいるわけです。 しかもホクナリンテープはただの風邪薬ではありません。 長時間気管支に作用し、心臓にも影響します。 セレベントなどの長時間作用型の気管支拡張剤は、喘息の重症発作や喘息死を増やすとされており()、日本のでも使用する場合は中等症以上の比較的重症な喘息の子どもに限り、必ずステロイドの吸入と併用することになっています()。 気管支拡張剤の短期間の使用がどの程度危険なのかは分かっていませんが、慎重投与するべき薬であることは間違いありません。 7、日本の医療の問題点 このようにホクナリンテープの過剰使用の現状は、日本の小児医療を取り巻く様々な問題点を浮き彫りにしてくれます。 外来が忙しく、詳しい説明もないままに薬が処方されること。 不十分な臨床データでの薬の承認の問題、その後の見直しもされません。 不安感から薬を求める親、それに応じて処方せざるを得ない小児科医が生む薬依存症のスパイラル。 十分に検討されていない副作用の問題。 ホクナリンテープの使われ方が大きく誤っているのは間違いありません。 事故につながる可能性もあると思います。 小児科医が率先して過剰使用の現状を何とかすべきではないでしょうか? (リンク切れが予想されるので、該当の記事の一部を貼り付けておきます。 ) U. Reviewing Safety of Children's Cough Drugs In a recent study of hospital emergency room records from 2004 and 2005, the Centers for Disease Control and Prevention found that at least 1,519 children under age 2 had suffered serious health problems after being treated with common cough and cold medicines. Three of the children died, the disease control agency found. The F. said it was too early to predict whether the review would lead to new regulations. Its comments came in response to a petition filed on Thursday by a group of prominent pediatricians and public health officials demanding that the agency stop drug makers from marketing cold and cough medicines for children under age 6. The petition says that the medicines do not work and that in rare cases they can cause serious injury.

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