クルーズ 船 対応。 クルーズ船対応に内外から批判-野党から下船乗客の隔離求める声も

米政府の“変節”や“岩田動画”に翻弄 コロナの脅威に追加隔離なしの下船は正しかったのか? 徹底検証クルーズ船オーバーシュート その3

クルーズ 船 対応

3700人を超える乗客・乗員の間で712人に新型コロナウイルスの「感染爆発」が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(以下DP号)。 日本と世界にウイルスの脅威を知らしめたこの舞台裏についてFNNでは4月19日午後8時からの番組「日曜 THE リアル シンジジツ」で改めて検証する。 この記事では、番組内で検証要素の1つとなる日本政府の対応に絞ってより詳しく振り返るが、最終回となる本稿は、政府の対応を総括しつつ、船内感染拡大を防げたのか否かについて詳しく検証する。 発生から1か月で乗客・乗員の下船が完了 3月1日(日) 2月下旬、乗客に続いて乗員のDP号からの下船が行われた。 そして3月1日、乗船者全員の下船が完了した。 加藤厚労相は記者会見で次のように語った。 「クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号につきましては、本日、最後まで船に残っておられた船長以下すべての乗員の方々の下船が完了いたしました。 これによって、すべての乗客、乗員の下船が完了したことになります。 この間、クルーズ船の乗客であられた7人の方がお亡くなりになりましたことは大変遺憾であり、改めてお亡くなりになった方のご冥福と、また、ご遺族の方にお悔やみを申し上げたいと思います」 そして加藤厚労相は今回の空前ともいえる困難なオペレーションについて振り返った。 「巨大なこのクルーズ船の中での検疫作業、そしてこれだけの感染が発生をしていたわけでありますが、これまでにない大変困難な作業であったと思います。 それぞれの関係者の皆さんがその状況に対して適切な対応を考え抜き、一つ一つの問題を解決しながら、本当にそうした皆さんの努力でここまでの状況に至ることができたと考えております。 厚生労働省を代表して、改めて全てのこうした取り組みに関わった方々に厚く御礼を申し上げたいと思います」 乗客撮影 この会見が行われた3月1日は、未曾有の事態の始まりとなった香港で下船した男性の陽性確認から、ちょうど1か月の節目の日だった。 それから3週間あまり経った3月25日、DP号は船内の消毒作業などを終えて検疫所から検疫済証の発行を受け、長く停泊した横浜港を離岸した。 政府の対応に問題は? 船内隔離の理由は「大人数の受け入れ施設がなかった 厚生労働省の発表によると、DP号では乗客・乗員3711人中、実に712人の感染が確認されている(331人は無症状)。 そしてそのうち、豪政府発表の1人を含め14人が亡くなった。 (4月18日時点) 乗客・乗員のおよそ5人に1人が感染し、陰性とされた患者がその後陽性と判断される例も相次いだ。 今回の政府の一連の対応に問題はなかったのか。 まずDP号のオペレーションへの批判として大きかったのが、乗客たちを船内にとどめたことが、感染者増加につながったのではないかとの指摘だ。 しかし、複数の政府関係者が口を揃えて指摘するのは3700人を超える乗客乗員を収容する施設がなかったということだ。 「下船させると言ってもどこに下船させるのか」「今回は民間で受け入れてくれる所がなかった」などと証言している。 さらにある政府関係者は、「最初は別の船を借りて移ってもらおうかと思ったが、その船をどこから借りてくるのか。 3700人を収容できる船は豪華客船しかなく、大変なお金がかかる」と述べた。 別の船への移動も当初検討したが断念したのだという。 結果、大人数を「個室」で待機させるにはDP号内で「船内隔離」する以外の選択肢が見つからなかったのだ。 また多くの外国人客が乗船していたため、外国客へ対応する環境が整っているDP号はまさに「ホテルシップ」だったことも判断に影響した。 外国語でのコミュニケーションという点でも、DP号のスタッフは優れていたし、政府の施設などでの対応は困難だったという。 DP号の外国人乗客を受け入れたある医療施設は、音声翻訳機「ポケトーク」を使って患者とコミュニケーションをとったという。 政権幹部は「DP号の乗員・乗客に関しては最初から下船させる選択肢はなかった」と語り、政府の対応には問題なかったとした上で「これ以外の方法はない」と今も説明する。 「感染拡大」はいつだった?横浜港入港後には拡大していない? 感染がなぜ拡大したのかについては政府内でも様々な見方がある。 船内隔離中の感染に関して当初から指摘されていたのは乗員を介しての感染である。 19日に国立感染症研究所が公表した分析結果では、船内で乗客の客室待機が始まった5日以降、乗員の感染が増加していて、また「乗員は船の機能やサービスを提供する必要があり、乗客ほど完全に隔離されなかった」と指摘している。 また政権幹部も「陽性反応が出た人の半分が無症状で、しかも乗員の感染者が増えたのは想定外だった」と話している。 一方で、ある政府関係者は乗員の感染について「当初はクルーに大量の感染者が出ていると考え、施設の準備など対応を進めた。 しかし、クルーの感染は結果1割程度しかいなかった」として乗員を介しての感染拡大については否定的な見方を示している。 船内での乗員の行動については不透明な部分もあるので、今後解明の必要がある。 ただ政府内では、感染拡大の多くは、船内隔離の前に起きていたとの見方が強い。 DP号内での感染を確認した1日から横浜港に到着する3日までの間、船内では乗客がビュッフェ会場などを自由に移動できたため、この期間に感染が拡大したということだ。 横浜港到着前に行われた船内パーティーなどが、感染が広がった原因ではないかという意見も多い。 この見解を後押しするように、2月26日に国立感染症研究所が公表した分析結果では、「2月3日にクルーズ船が横浜港に入港する前にCOVID-19の実質的な伝播が起こっていることが分かる」と暫定的に結論づけている。 そのため、仮に横浜港に到着後ただちに乗客を下船させ別の施設に移しても、感染者数に大きな差はなかったのではという指摘は政府内に多い。 横浜港到着前の「感染拡大」は防げなかったのか それでは、2月3日の横浜入港前の感染拡大は防げなかったのか。 ここで問題となるのが船特有の「旗国主義」による責任の所在だ。 私たちに国籍があるように船には船籍というものがあり、船が所属する国の国旗を掲げることとなっている。 そして公海上では、船の管轄権は船籍を持つ国にあるとするのが「旗国主義」の考え方だ。 政府関係者は、DP号の船籍国はイギリスだったため、1日の陽性発覚直後に公海上にいるDP号に対し客室待機などの措置をとることは「権限もないし、命令できなかった」と説明する。 また別の政府関係者は次のように振り返っている。 「本来であれば、こっちに来させない(入港させない)という判断もあった。 ただ、あの船には日本人がたくさんいましたから、拒否するのはちょっとね。 入港拒否できないのなら、船会社が気づかなければ、こちら側からダンスや食事など濃厚接触をしないでくださいとか言えばよかったけど。 あの時点ではたった1人が陽性であると分かって、その人ももう下船をした。 それであの船の中にいる大多数は日本人だということを考えると、たった1人の陽性だけで、『入港禁止』の判断を下せたか…」 むしろ政府内には船籍国であるイギリスへの不満が強い。 DP号のオペレーションに関わった政府関係者は「クルーズ船が日本に到着して感染者が続発して、日本の責任だと言われても、じゃあ船会社や船籍国は何もしなかったじゃないかと言いたい。 BBC(イギリスの公共放送)の記者だって日本政府の対応を批判しているが自分たちの国は何もしなかったじゃないかと言いたい」と批判する。 ほかにも、「イギリスはジョンソン首相になって、おかしな国になってしまった」という恨みの声も聞かれた。 DP号が残した今後への課題と教訓「いろいろ学んだ…反省して次に」 安倍首相は3月14日の記者会見で「総員3700人を超える船の中で、見えないウイルスと戦うという前例のない本当に困難を極めたミッションだった」と語った。 また橋本厚労副大臣は、対応全体の評価は別として「国内によくわからない感染者がいっぱい出たみたいな話をダイヤモンド・プリンセスは起こさなかったとは言える」と、最大の目的であるDP号から日本国内への感染拡大を防げたことは成果だとの認識を示している。 DP号での感染拡大については未だ不透明な部分も多く、何が適切で何が過ちだったのか、今後の検証作業が待たれる。 その中で、ある政府関係者は「今回は相手が見えないから難しい。 初動の段階で、どのくらい体制を動かすかというのは本当に難しい。 医学的な見地を尊重しないといけないが、お医者さんたちも初めてのことだから断定しにくかった」と対応を振り返り、危機管理の難しさを滲ませた。 政府にとって最大の誤算は、新型コロナウイルスについて、感染力や潜伏期間などの点で想定を超えた「未知」の部分が多かったことだろう。 初期の段階では、船内でこれほど大規模に感染が拡大しているとは予測していなかったために、想定外の対応に追われた。 また下船の際には、厚労省は科学的な見地に基づいて、陰性と判断され下船した乗客について日常の生活に戻す判断をした。 しかし、その後下船者が陽性と判断されるケースが発生するなど、新型コロナウイルスに関しては専門家らの「科学的な見地」を超えた問題が生じた。 一方で専門家の見解に甘い面があり、政府もそれに依拠しすぎたのではという指摘があることも否定はできないが。 問題となった「旗国主義」に関するルール作りも必要だと指摘されている。 ある政府関係者は、今後クルーズ船で同様の事態が頻発した際に「日本はどれだけ対応してどれだけカネをかければいいんだ」と懸念する。 新型コロナウイルスとの戦いはまだまだ途上であるが、官邸関係者は次のように、DP号をめぐる今回の反省を今後に生かすと強調している。 「国内外のメディアから批判されたし、反省すべきところは十分反省して次に活かさなければならないが、それでも前例のない事態に世界で初めて対応した日本の果たした役割は大きいと思っている。 今回のことで色々と学びましたから。 2回目が起きたら動きはよくなると思いますよ」 まさにこの言葉の通り、今回のDP号の事例について、現在の日本の新型コロナウイルスをめぐる厳しい状況の中で、その教訓を生かさねばならない。 そして中期的には、今後世界が活かせるような検証を行い、人類にとっての貴重な前例・教訓としていくのが政府の今後の責務だろう。 (フジテレビ政治部 ダイヤモンド・プリンセス号検証チーム) 番組では、政府の対応に限らず、ダイヤモンド・プリンセスの中で何が起きていたのかに関する壮大な検証を行う。

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クルーズ船対応に内外から批判-野党から下船乗客の隔離求める声も

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3700人を超える乗客・乗員の間で712人に新型コロナウイルスの「感染爆発」が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(以下DP号)。 日本と世界にウイルスの脅威を知らしめたこの舞台裏についてFNNでは4月19日午後8時からの番組「日曜 THE リアル シンジジツ」で改めて検証する。 この記事では、番組内で検証要素の1つとなる日本政府の対応に絞ってより詳しく振り返るが、第3回となる本稿は、事実上の船内隔離の中盤から後半に起きた数々の想定外の動きと、政府の対応を検証する。 2月15日、在日アメリカ大使館がDP号に乗船するおよそ380人のアメリカ人を退避させるため、国務省がチャーター機を派遣すると発表した。 この発表を聞いた政府関係者は「待っていた。 本当に助かる」と吐露した。 これは日本政府の偽らざる本音だっただろう。 多くの外国人客が乗船するDP号については、海外メディアも大きな関心を寄せ、DP号を「浮かぶ監獄」「小さな武漢」などと例え、過激な言葉で船内の感染対策を批判する記事もあった。 外国人乗客の中には「船を降りたい」とSNSを通じて訴える人もいて、それにアメリカ政府が応えた形だ。 乗客撮影 しかし実際の所、事はもう少し複雑だった。 実は早い段階でアメリカ政府はDP号に乗船しているアメリカ人の移送について「在日米軍基地を経由する案も含めて検討したい」と打診したが、結局日本政府の対応に委ねる意向を示していたのだ。 8日夜の時点で加藤厚労相は記者団に対して「アメリカから乗客を移送させるという話もあったと聞いているが、最終的には今の状態の中で日本の対応にお任せすると聞いている」と話している。 政府関係者も「日本側がアメリカ人乗客の早期帰国を提案したことに対し、アメリカ側が『日本の厚生労働省が行っている船内隔離措置はワンダフルだ』として、乗客を船内に留めるよう要請した」と証言している。 つまり、アメリカ政府はDP号内の自国民の対応を日本政府に一任し、船内隔離に賛成、対応を称賛していたのだ。 それが15日になり、一転チャーター機を派遣して退避させることとなった。 突然の方針転換の背景には何があったのか。 関係者によると、一部の乗客から「船から出たい」と訴えかけられたアメリカの有力議員が動いたことで、アメリカ政府が態度を一転させ、乗客を早期に帰国させる方針に変更したのだという。 そして、17日朝、帰国を希望したアメリカ人乗客らはチャーター機で日本を後にした。 これに続くように韓国、カナダなど各国の乗客らが次々と帰国した。 日本政府としては、「出て行ってもらう分にはかまわない」と関係者の一人が話すように、外国人乗客の出国は、相次ぐ有症者への対応や、全員検査、そしてその先にある全員下船を考えると、管理の必要な乗客の数を減らすという観点では、肯定的に捉えていたようだ。 「岩田動画」が波紋「対策不備」批判に政府反論 2月17日(月)~19日(水) こうした中、乗客の船内隔離をめぐり、新たな騒動が勃発した。 厚生労働省は17日、船内でこれまで最多の99人の感染が確認されたことを発表した。 翌18日には88人、19日には79人の陽性が確認された。 神戸大学の岩田健太郎教授による動画投稿だ。 岩田健太郎教授 クルーズ船にDMAT(災害派遣医療チーム)の一員として乗船した岩田教授は18日夜、船内で、感染の危険がある区域と安全な区域の区別がついていないなどと、感染対策の不備を指摘する内容の動画を「YouTube」に投稿した。 「ダイヤモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました」などと主張した岩田氏のこの動画は国内外で広く視聴・拡散された。 メディアや国会でもこの岩田教授の主張が取り上げられ、政府の対応への批判が高まる中、政府高官は次のようにいら立ちを露わにした。 「部分的に見ただけの話をしているだけでしょ。 DMATの仕事のエリアだって一部を見ただけだろう」 さらに、厚労省のチームの一員としてDP号で実務にあたっていて、岩田教授の乗船にも関わった高山義浩医師も、岩田氏は船内には2時間弱しかおらずラウンジ周辺しか見ていないと指摘し、「ゾーニング(区域分け)は完全でないにせよしっかり行われていた」などと反論した。 船内で対応にあたっていた橋本厚労副大臣は、船内の衛生管理は適切だなどと岩田教授に反論した上で、船内の写真をツイッターに投稿した。 しかし、その写真には「清潔ルート」「不潔ルート」と張り紙がされている様子が写っていて、医療用語としての「不潔」という言葉が一般の人に違和感を抱かせたことや、写真では2つのルートが完全には分けられていないようにも見えることが、さらなる疑念を招くこととなった。 ただ、岩田教授はその後、「ゾーニングが改善され注意を促す必要がなくなった」などとして動画を削除した。 政府関係者からは次のような声が漏れた。 橋本岳厚労副大臣のtwitterより 「当然でしょ。 2時間しかいなかったんだから。 色々と苦情が来たんじゃないの」 「『納得しました』と消したから、発症者の数は5日からぐんと下がっているから船内感染が隔離によって抑えられているとわかって、動画を消したと言うこと。 岩田教授は別に意図があって動画を作った訳じゃないでしょ」 このように政府は一貫して船内で「感染予防を徹底していた」との立場をとっている。 その根拠の1つが19日に国立感染症研究所が公表した分析結果だ。 それによると18日の段階で感染が確認された乗客乗員531人(うち255人が無症状)に関し、分かっている発症のピークは7日だとしている。 ウイルスの潜伏期間を考えると、「2月5日に検疫が開始される前に実質的な伝播が起こっていたことが分かる」と暫定的に結論づけている。 つまり、政府が客室待機を求める前に感染が実質的に拡大していたのだとして、検疫開始後の船内の感染予防に問題はなく、感染者増に大きな影響を与えてはいないという主張だ。 ついに乗客下船、追加隔離なく公共交通機関などでの帰宅に批判も2月19日~ 厚生労働省は、14日間の客室待機の期限目前の18日、発熱などの症状がなく、検査で「陰性」と確認された乗客を「新型コロナウイルスに感染しているおそれはないことが明らか」として、19日から順次下船させることを発表。 そして、予定通り19日から乗客の下船が開始され、乗客はバスでターミナル駅に移動し、公共交通機関も含めそれぞれの手段で帰宅の途についた。 陰性の約500人が下船・2月19日 しかし、この方針は野党などからの批判にさらされた。 チャーター機で自国民を帰国させた各国は、帰国後さらに14日間の隔離措置をとっていたからだ。 野党側は国会で、さらに2週間程度の隔離を行うよう求めた。 野党会派・山井和則議員 「きょう10時半に下船されて、約500人が横浜駅や東京で解散となって自由に帰宅されると聞いている。 電車に乗られる方、自宅に戻られる方、買い物する方おられます。 そういう中で本当にその方々が自由の身になっていいのか。 私は下船していただくのは賛成です。 ただしその方々は、アメリカの例にもあるように2週間ぐらい隔離させていただくと。 いったん500人の方々からどんどん感染したら、収拾つかないことになりかねない。 だから念のために今からでも今後下船する方に関しては、2週間は隔離することを念のためやるべきじゃないか」 加藤厚労相 「感染研から14日間しっかりと管理がなされて陰性であって最終的に健康確認なされていれば、公共交通機関を使ってもいいという示唆があり、いろんな数字を出させていただく中で最終的に判断したと。 委員のご懸念もございますので皆さん方に健康カードを渡して何か生じれば私どもに直通でお話しいただく。 それぞれの地域でフォローアップもしっかりしていく」 加藤厚労相はこのように説明し、乗客全員について予定通り下船が実施されたが、国民の間には不安が残った。 またこの時点では、当初の3700人超の乗客乗員について、感染確認者が増え続けても死者は出ていなかった。 政府関係者は「まだ、クルーズ船内の人が亡くなっていないのが救いだね」と語っていた。 しかし2つの心配事は、共に現実のものになってしまう。 2月20日(木)~29日(土) 初の犠牲者 下船後も相次ぐ「陽性」 「お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご家族の方に改めてお悔やみを申し上げます」(加藤厚労相) 20日、新型コロナウイルスに感染し入院していた乗客のうち、80代の日本人の男女2人の死亡が発表された。 DP号の乗客で初の死者だった。 さらに23日には80代の日本人男性、25日にも80代の日本人男性、そして28日には70代女性とイギリス人男性が死亡するなど、ウイルスの犠牲になる乗客が相次いだ。 そして22日、もう1つの懸念が現実のものとなった。 ウイルス検査で陰性とされ、19日に下船していた栃木県の60代の日本人女性が、帰宅後発熱し新型コロナウイルスに感染していたことが判明したのだ。 この時点で約970人の乗客が陰性と判断され下船していたが、その中から感染が確認された初のケースとなった。 アメリカなどはDP号の乗客を帰国後も2週間にわたり施設で「隔離」するなどしていたため、下船後の日本政府の対応への疑問の声が広がった。 その後、徳島県や宮城県などでも同様のケースが確認され、また健康観察中に発熱などの症状を訴える人も相次いだ。 結局、症状がないまま下船し公共交通機関も含めた手段で自宅に戻るなどした乗客1011人に関し、下船後14日間の健康フォローアップ調査をした結果、7人の感染が確認された。 ただし、この7人から他の人への感染については確認されていないという。 <次稿に続く> (フジテレビ政治部 ダイヤモンド・プリンセス号検証チーム) 番組では、政府の対応に限らず、ダイヤモンド・プリンセスの中で何が起きていたのかに関する壮大な検証を行う。

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クルーズ船対応、各国批判 「防疫の概念ないのか」「新たな震源地」「失敗した実験」

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新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう中、2020年4月下旬、長崎市に停泊中のイタリア大手コスタクルーズ社の大型クルーズ客船3隻のうち、1隻で新型コロナウイルスのクラスターが発生。 乗員623人中149人(2020年5月10日時点)が感染するという緊急事態となりました。 乗員は日本人通訳1人のほかは外国籍。 中国、インドネシア、フィリピン等約30カ国に及びます。 すでに多くの感染者がいる船内で、チャットボットを活用し乗員の健康観察を緻密に行い、更なる感染拡大を防いだ富士通の新型コロナウイルス感染症対策チームの取り組みを紹介します。 国際的な緊急事態として、長崎大学 山藤医師より対応要請 4月22日10時、長崎大学熱帯医学研究所 山藤栄一郎医師より緊迫した様子で、富士通の「新型コロナウイルス感染症対策チーム」に連絡が入りました。 山藤医師は、感染症対策の専門家であり、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部クラスター対策班の一員でもあり、長崎市の現場で感染症対策の陣頭指揮を執る人物です。 山藤医師から緊張した面持ちで、「長崎に停泊中のクルーズ船でクラスターが発生した。 至急、感染症の健康観察の仕組みを用意して欲しい。 停泊している船は3隻あり、全体では2,000人近い人がいる。 そのうちの1隻では既に623人のうち、20人程度が感染している。 もし残りの2隻にも感染者がいた場合、第二のダイヤモンド・プリンセス号のように感染拡大のリスクがある」 「船は修繕中であり、乗客はおらず船員ばかり。 ほぼ全員外国人である。 船内の医師は、船医が1名のみで、船員の健康状況が分からない。 そのため外国語対応した健康観察チャットの仕組みが必要である。 いつまでに用意できますか?」と切迫した問い合わせでした。 イタリア政府から日本政府に緊急支援要請が入ったほか、県の要請に基づき、国は専門家(国立感染研究所、厚労省クラスター対策班等)を長崎へ緊急派遣。 対応を間違えると国際的な問題となる緊急事態の中、日本の威信をかけた感染症対策の取り組みが始まりました。 クラスターが発生したイタリアの大型クルーズ客船「コスタ・アトランチカ」 依頼から9時間後、クルーズ船専用「健康観察チャット」を構築 緊急要請を受けた富士通の新型コロナウイルス感染症対策チームは、急を要する状況であるため、断片的な情報の中から想像で仕様を定め開発に着手しました。 システムのベースは既に宮城県他、国内の自治体・保健所90カ所で導入している「健康観察チャット」サービス。 この仕組みは、富士通が提供するクラウドベースのサービス基盤「CHORDSHIP(コードシップ)」 を活用し構築しています。 乗員に外国籍が多いという状況を踏まえ、全て英語表記に改修。 接触者IDを船員IDに、所在地を船内の船室番号に置き換えシステムをセットしました。 山藤医師から電話を受けた約9時間後の4月22日19時には、英語版のクルーズ船専用「健康観察チャット」の環境を長崎県に提供。 山藤医師は、早速関係者にシステムによる感染状況の把握と感染防止の対策をとる調整に入りました。 英語版「健康観察チャット」の入力画面イメージ。 濃厚接触者の方が、スマートフォンから日々の健康状態を報告し、医師が一覧形式で管理するため、乗員と医師双方にとって聞き取りの負荷軽減できます。 600名を超える乗員を下船させても管理する場所がなく、感染対象(レッドゾーン)の船との往来も容易にできない、という制約の中で、富士通は「健康観察チャット」の導入と改善のサポート対応をすることになりました。 また、船内にいた船医1名と看護スタッフで、623人の健康観察と医療判断を全て実施していたため大変な負担がかかっており、船医が感染した場合には、船内の医師がゼロになるというリスクも抱えていました。 4月23日、48人の感染者が診断され、1名が長崎市内に救急搬送されたというニュースで、長崎県内は騒然となりました。 4月24日、更に43人の感染が確認され、合計91人となりました。 その後、4月27日、28日には3人が救急搬送され、事態は切迫した状態が続きました。 クラスター発生船内623人の健康状態を、20回のマイナーチェンジで対応 富士通は、一旦提供したシステムの機能を、徐々に分かってきた船内の様子や船内の対策状況、船外からのサポート状況に合わせて毎日拡充していきました。 更に、船医1名が、623人の健康状態を迅速かつ正確に把握する必要があるため、乗員自身のスマートフォンで自分の健康状態や検温状況を入力できるシステムを提供しました。 「健康観察チャット」の管理画面イメージ。 乗員の方がスマートフォンから入力した情報をリアルタイムに収集し、クラスター対策に活用。 感染拡大防止と重症化判断基準を随時反映 閉じられた船内では、「感染拡大防止」と「重症化した場合の対応」が両面の対応が重要になります。 山藤医師の見解から、基礎疾患や喫煙歴、肥満等があると重症化しやすいという、新型コロナウイルスの特徴を踏まえ、直接会うことができない船員の身体特徴や年代、持病等をデータからのみ判断。 重症化リスクを早期に発見するための判断基準項目を追加しました。 また、選択肢を分かりやすく少なくしないと入力離脱に繋がるため、入力状況のログを見ながら改修しました。 毎日2回データをスクリーニング、多種多様な切り口での判断を可能に 入力された情報は、山藤医師が毎日チェックを行い、スクリーニングする情報として船側に1日2回データ処理をした上で提供。 早期にコミュニケーションが図れるように、体温変化があった人や自覚症状に変化があった人等、多種多様な切り口で判断ができるようにデータを抽出し、示せるようにしました。 更に、山藤医師が素早くデータを抽出できるように管理画面の機能も要望にあわせて改修していきました。 スマートフォンの機種も時間設定もバラバラ 乗員は30ケ国以上の多国籍で構成されていたため、乗員のスマートフォンやOSも分からない状態でした。 そこで、ブラウザベースで操作できる環境を提供。 しかし各乗員のスマートフォンが出身国の時間に設定されていたため、日本時間午前9時前後での入力依頼をしたはずが、集まったデータは日付や時間もバラバラ。 そこで、日本時間に強制変換する機能を追加し、決められた時間に確実に情報が集まるようにしました。 このような現場の運用から出てくる要望に対応し、1週間で20回のマイナーチェンジ(機能強化)を繰り返しました。 山藤医師とオンライン会議で現場の課題を一つひとつ聞きとり、システムに反映。 20回の機能強化を繰り返した。 不安な船員とのコミュニケーションをチャットボットで効果的に 長引く船内での待機により、メンタル面の不安や体調不良を訴える乗員も出てきました。 体調不良者が出ると、船医がますます多忙になるため、「健康観察チャット」に寄せられるフリーコメント欄から、乗員の要望を抽出し、船会社側に伝えるというケアも心がけました。 例えば、「ケータリングの食事がアジアフードばかり。 私はルーマニア人なので、欧州の食事が食べたい」という要望も寄せられて、船員の心の声を聞く手段としてスマートフォンからのチャット入力手段は効果的でした。 船員の緻密な健康状態の把握により、更なる感染拡大を防ぐ 4月25日、623人中148人の感染が確認されましたが、日本側のサポートが本格化した4月26日から5月10日までの間には、感染者は1名に留まりました。 重症化した患者は「健康観察チャット」で収集した情報を元にあらかじめ長崎県内の病院と密な連携を行い、7名の搬送が行われました。 また、緻密な健康状態が把握できていたことにより、5月5日より陰性が確認された船員から順次帰国が許されました。 5月10日時点で、残る乗員は約400人になっています。 これは、長崎県庁、厚生労働省クラスター対策班、国立感染症研究所、DMAT、自衛隊等で構成する日本側の特別チームのサポートと船側(船医・乗員)が心を一つにして成しえた感染症対策プロジェクトです。 富士通の新型コロナウイルス感染症対策チームも、山藤医師とのオンライン会議で現場の課題を一つひとつ聞きとり、対策最前線の熱意に触れながら日本人としての威信をかけモチベーションを高く持ち対応にあたり続けました。 そして、直接会うことのない乗員の方々、長崎県庁の対策本部の方々とも、データを通して繋がり、チーム一丸となって、本プロジェクトに取り組むことができたのです。 長崎クルーズ船対応はまだ続きますが、乗員の方々の1日も早い健康状態での帰国を心から願っています。 600名を超える船員を一斉に下船させて健康管理、という方法が選択できなかったため、船内で健康管理せざるを得ませんでした。 船内はレッドゾーンとして扱われ、クルーズ船内での支援活動が制限される中、船外からの健康管理をお手伝いするために各船員が毎日健康状態をアプリに入力したものを一覧にして、船医に1日2回報告しています。 情報は、船医が診療をする上でスクリーニングに使用されています。 同時に、感染者の重症化リスクを船外の支援拠点でも把握することで、入院が必要になった時の受け入れ側(病院)の準備にも役立てています。 富士通の新型コロナウイルス感染症対策チームとは、毎日情報交換をして、現場で必要だと思われる改善点に対して反映してもらっています。 お互い直接会って仕事をしている訳ではないですが、すぐそこで一緒に働いているような感覚になるほど、連携できていると感じます。 利害関係なしに、ここまで現場の意見を反映して迅速に対応、改善して下さることは大変ありがたく、感謝しております。 FUJITSU JOURNAL• 2020年5月20日.

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